【 今でもよくある組織事例につき要注意 】上総広常 誅殺の理不尽 〜 暗黒・頼朝の謀略

  

#全部大泉のせい 

   

《 類似事例が文末にあります、興味のある方はぜひ 》
 ・ 「 勝てば官軍 」「 判官びいき 」

   

上総広常とはどんな人物か

桓武平氏良文流・上総かずさ氏、正式には 平広常( たいらのひろつね )。 さかのぼっていくと、平将門の血統のようです。

上総介広常かずさのすけひろつね の 前の代に、房総平氏 ( 坂東平氏 )が 千葉氏 と 上総氏 に分かれています。千葉氏が房総半島北部、上総氏は中央部を領しました。( 房総半島南端は安西氏 )

 

ちなみに、平清盛は、伊勢平氏です。同じ平氏系列でも遠い親戚すぎて今なら普通の見知らぬ人ですが、当時は天皇家に由来する血筋( 祖・高望王 )として、まだまだ冠としてつけて名乗るほどのものだったに違いないでしょう。

坂東平氏は、平高望のずっと後にほかの平姓諸氏同様、河内源氏 の配下となっており、伊勢平氏は西国に移って地盤を築きました。 )

一方、房総平氏 ( 坂東平氏 )が 千葉氏 と 上総氏 に分家したときの千葉氏の統領は 千葉常胤 です。

   

   

上総広常の事件が 現代のネットをざわつかせた

NHK大河ドラマ「 鎌倉殿の13人 」で、上総広常佐藤浩市さん が扮しています。( 公式Twitter

大泉洋さん扮する鎌倉殿・源頼朝上総広常かずさのすけひろつねの関係を描いた 第15話、「 足固めの儀式 」が、ネットを大いにざわつかせました。

ここでいう儀式とは、上総広常の暗殺が堂々公衆( 御家人衆 )の面前で行われたという話です。

  

   

この事件の( 史実を脚色して描いた )せいで、Twitter界隈では、#全部大泉のせい で沸きました。

   

「 #全部大泉のせい 」は、主演の小栗旬さん( 北条義時・鎌倉2代将軍執権 )が、この15話の収録周辺で着けていたマスクに記入していた文字に由来するそうです。

  

この事件のまさにその瞬間、北条義時( 小四郎 )は、虫の息となる上総介から「 どうしてこうなるんだ?? 」という意味の呼びかけをされるも返事できず、だまってうつむき大粒の涙を流すのみとなってしまったのでした。そのリハーサル時のマスクをつけたまま小四郎を演じて、上総介に、頼朝から逃げてほしいと伝えたかったとでも言いたげな、ウイットに富んだエピソードです。

   

って、実際そうやってリハーサルしていたお姿の一例がこちら⇩⇩。( 大泉と書いてありますが、このときは「 差し入れありがとうございます 」の意味の時だったようです )

   

こんな感じで毎日マスクにその日の話題を書いてたみたいです。ちなみにこの写真のは、「 大泉さんパンありがとう 」でした。( 出展 : NHK )


  

上総広常は、ここぞというときに頼りになる人物たちの筆頭

頼朝は、北条などのバックアップを得て挙兵した平家との闘い・石橋山の戦いで大敗し、安房国へ逃れ
ましたが、その際に上総広常が2万騎( 『 吾妻鏡 』 )を率いて参戦、頼朝の再挙を助けました。

ここに頼朝と上総介との間のすれ違いがあるように考察されることもあるようですが、上総氏はそれ以前の、頼朝側近・安達盛長が源氏累代の家人に対して頼朝自身に協力するかを訊ねた際、快諾した家人たちと同じタイミングで同意していたようです。

ただ、安房へ逃れたところからの参戦については、「 遅い 」と頼朝が怒ったとの説があるので、細々と気持ちの行き違いやら、戦の戦法・その強弱のタイミングの差は互いにあったかもしれません。( 安西氏・千葉氏も安房の時点から参戦 )

   

   

とどのつまり、上総介らが頼朝戦隊に加わったことで、頼朝軍は無敵となり、平家軍の大庭景親と伊東祐親を倒すことができました。上総氏家中やその周辺武家を統率する能力に上総介広常は長け、御家人諸氏を調整して戦いをうまく運ぶことにも尽力したようです。

   

エラー - NHK

   

   

仲間である頼朝の突然の裏切り、刺客も涙をのむ斬り捨て御免

「 鎌倉殿の13人 」の脚本は、これから平家打倒の挙兵をする前に、木曽の義仲源義仲 )を討って源氏としての主導権を自分ひとりで握ろうする狡猾な頼朝を飄々と描いていきます。

みなさんご存知の通り、木曽義仲は先に出るを得なかった京都で、不具合を収拾できなかったことを利用され頼朝軍に打たれます、涙。

この義仲討伐軍を送ることについて坂東武者の御家人たちは、源氏身内の戦争として猛反対し、そんな強硬な頼朝をいっそのこと追放して嫡男( 政子長男 )を自分たちの首領に担ぎ上げようと策を練りました。

   

しかし結局頼朝追放計画は失敗に終わり、計画されたこと自体は周知の事実となります。

この件の成敗のとき、事実上謀反計画には乗っていなかった上総介を粛清しようという話になりました。

   

なぜか、そうなってしまいます。

   

主人公の小四郎北条義時は当然大反対しますが、「 じゃ、誰に責任を取らせるんだ 」という趣旨の問いかけを頼朝にされると彼からはぐうの音も出ず、手出しするな、止めるな、匿うなとすべてを制限されてしまうのでした。

「 余計なことをしたら、お前も殺す 」

上総介広常 に実際に手を下すことになった 梶原景時 も、躊躇していたと伝えられているようです。

   

   

   

    

Twitterのざわつきに、公式アカウントが、いくつか投稿したようで、上総介広常が殺される前に用意していた( 実際の )書状などが頼朝に伝わった様子などを、知らせていました。

   

   

   

   

「 最も頼りになるものが、最もおそろしい 」からだったのか??

これはドラマの中で印象的に切り取られるよう演出されてる言葉ですが、そのせいばかりでは決してないと思います。

なんでしょう、日本人が何人かあつまったときに・・・、え、日本人だけじゃない、世界ぜんぶがそうかもしれないですよね。 え?え? なんで俺? ってなる事件って珍しいことじゃないと思います。

  

だからいいってことじゃないんですよ、だめなんです。

そんなこと、知っててやってる人間がクズなんです。

   

    

冤罪なども似ているでしょう、ほんの小さなこと、些細な事、原因がしょぼすぎて違いますっていうのも恥ずかしいことだって、案件としては同類ですよ。

疑いは晴らさないと。

そしてクズ人間は、きちんと周知しないと。

  

なんなんでしょう、あの、クズ人間をそうでないように扱う、人々の同調圧力って。

怖いですねえ。

くわばらくわばら、です。 そういうお話でした。 個々に対策立案し気を付けましょう。

   

   

まとめ : 自分が被害者( 上総介 )になる可能性は十分にある

理不尽な裏切り・冤罪は、大なり小なり身近なところにも存在する。

勝てば官軍を許さない個々人の気持ちが大切。

   

   

イーロンマスクがTwitterを買収する時代です、「 勝てば官軍 」という世の中は変わるかもしれませんよね。木曽の義仲も笑顔で現世を見てくれるかもしれません。

    

   

上総広常暗殺の伏線 ( 大河ドラマ『 鎌倉殿の13人 』脚本内 )

ちなみに、『 鎌倉殿の13人 』では、この第15話は、【 足固めの儀式 】というタイトルなのですが、「 足固めの儀式 」は、( 謀反を起こして担ぎ上げる )頼朝の嫡男の生誕500日目のお参り、立って無事に事無く歩いていく・お参りするという儀式に掛けられています。

話中には、伏線となる言葉キーワードも、バンバン飛び交っています。

木曽義仲嫡男で、人質として来ている源義高に、千葉常胤たちが「 頼む、旗頭になってくれ 」と嘆願すシーンもありました。

源義高( 市川染五郎 ) 出典 : NHK

( 組織には、シンボルってものが必要なんですね。しかしそれはよりいいシンボルであることが大切だと脚本家が示唆しているようなシーンが切り取られて描かれていました )

  

次話冒頭では、「 頼朝は大きな代償を払い、御家人たちをまとめあげた 」とのナレーションが入りました、怒。

  

   

  

参考資料 ( 鎌倉時代の武将について )

鎌倉時代の武将って、武将のことも文化のことも、あまり文献も残ってないこともあって、たくさんの人にも知られていないし、歴史に興味があるひとたちでもなかなかわからないことが多いです。なので、見聞きして知っている関連案件を、せっかくなので備忘録としてメモ&リンクしておきます。

   

千葉常胤( 千葉氏・国分氏

・ 房総平氏として分家となった千葉氏の統領・千葉常胤は、たくさん武功を上げ、様々な土地を手に入れています。東日本各地の神楽や祭りで披露されるにも、名前入りで登場したりもします。

・ 伊達政宗が入る前の時代の仙台南部に( 当時は、奥州藤原氏系の統治下??を外れたので?? )入ったらしいです、千葉常胤・五男が、国分氏として統治したとかしないとか??

・ 千葉氏の庶流として、相馬氏・亘理氏、( 奥州千葉氏・七男起源 )が、相馬市( 福島県 )・亘理町( 宮城県 )に入ったとされています。

千葉常胤約の岡本信人さん 出典: NHK

和田義盛( 和田氏・朝比奈氏

・ 和田義盛  この話あとしばらくして、なんくせをつけられて謀反人となってしまう人物です。上総介広常の屋敷があったと言われるあたりに、「 朝比奈切通 」があります。この朝比奈は、和田義盛の三男・朝比奈太郎義秀 に由来するものだと思います。

・ 朝比奈義秀は、歴史的出来事・事件でほぼ無名なのに、『 吾妻鏡 』にたくさんの描写がある勇壮で華やかな武将で、あちこちに伝説がのこっている不思議な人・家柄です。

朝比奈切通( 鎌倉・横浜間 )

木曽義仲敗走後、捕虜としてとらえられた巴御前が、朝比奈太郎義秀の母となった!!との創作が『 源平盛衰記 』にもあるんですが、汗。 ← 『 鎌倉殿の13人 』の次話の16話内では、和田義盛の捕虜となるシーンも一瞬描かれています

   

山内首藤経俊山内首藤氏

・ 頼朝と乳母が一緒。頼朝に堂々と弓を引いたりしたのに、許されて生きながらえてるすごい奴が 山内首藤経俊 です。頼朝が乳母から直接頼まれたらいやと言えないことを見越してやりたい放題だったのかもしれません。

   

   

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◆ 上記のような事例・社内政治を考えながら、自分の キャリアデザイン もしっかりと。

◆ 将来のことまで考えていまから絶対貯えていた方がいいです。( iDeCo & NISA

   

   

   

「 勝った者に正義は宿る 」
 キングダム 第4シーズン5話「 剣と盾 」( 単行本35巻 )

義仲軍にたいして頼朝軍は、勝てば官軍でした。

この、「 勝てば官軍 」事例、こんなところにもありましたので、追記しておきます。

のちの秦の始皇帝・嬴政(エイセイ)の弟、成蟜(セイキョウ)は、兄王の政敵の策略により非業の死を遂げます。

その政敵・呂不韋は、「 勝ったものにこそ正義は宿るのだ 」と、その策略のすべてを知っている嬴政の盟友・信(シン)に公然と言い放ちました。

嬴政を排除して自ら王になろうとしてあらゆる手段を講じようとする呂不韋、彼のその後は歴史がそのまま物語っていますが、世の中、呂不韋の言うように、負けた方の正義はフォーカスされないことが多いものです。

   

   

判官びいき = 義経

また、「 判官びいき 」という言葉があって、義経は後世( とくに東日本~東北では )かなり美化されて、大陸に渡りチンギスハンにまでなった伝説がまことしやかに語られたりしますが、実際の人物像は、今回の『 鎌倉殿の13人 』の脚本が描くような感じだったのかもしれません。

判官びいきだけは、勝ったものに宿らなかった例と言えるでしょうか。

   

判官贔屓とは、第一義には人々が源義経に対して抱く、客観的な視点を欠いた同情や哀惜の心情のことであり、さらには「弱い立場に置かれている者に対しては、あえて冷静に理非曲直を正そうとしないで、同情を寄せてしまう」心理現象を指す。「判官」の読みは通常「はんがん」だが、『義経』の伝説や歌舞伎などでは伝統的に「ほうがん」と読む。 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A4%E5%AE%98%E  「 wikipedia 判官贔屓 」

   

   

願わくば、そうした両面が知れることが、いいことですよね。

勝ったものが果たして正義ではないことをしっかり知ることです。

   

   

安倍元首相の一件では、被疑者の背景がだいぶ詳細に分かってきていて、同情も寄せられるようになってきています。容疑者のやったことは、決して人として許されることではないですが、弱者がどっちだったのか、そんなことを考えさせられる情報が入ってくる時代になってきてるんでしょうか。

  

しっかり視ていきたいところです。

   

……

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