(C)原泰久/集英社 (C)2022 映画「キングダム」製作委員会
秦の古都・雍で行われている「 加冠の儀 」( 16話参照 )。
嬴政(エイセイ)が秦の王として正式に即位する(元服)荘厳な儀式を行っている一方で、嬴政 の 政敵・呂不韋(リョフイ)は 首都・咸陽にクーデターを仕掛けていました。
「 加冠の儀 」で、首都の防備が手薄になっているためです。
呂不韋 が仕掛けたのは、要するに、嬴政の母( 太后 )の実質的後夫・嫪毐(ろうあい)が首長となることになった秦の属国「 毐国 」の反乱という形式です。
呂不韋 の算段が巧みで、首都・咸陽 の後宮にいる 嬴政の親族( 妻子 )に危険が迫っています。
雍・天備宮での、嬴政と呂不韋の対峙
そんな中、かつて時の秦王・ケイコウがひとり、国についての思案をめぐらせるために造営したという古都・雍(よう)の 宮殿・天備宮において、しかも、上下関係なく対等な席次で、呂不韋との対決を 嬴政は はじめます。
その観客( 証人 )として、 呂不韋派主軸の 蔡沢( さいたく・剛成君 ) と 李斯( りし )、 そして 嬴政 の亡き弟・成蟜 の 妻・瑠衣(るい)、さらに 太后( 嬴政の母・趙姫 )も招いていました。
呂不韋「 ( この反乱を収束して私に )勝ったら ( 自分に従順な )李斯(りし)らさえも( 嬴政王朝へと )登用するというのか 」
これらメンツを見て少し驚き、そう呂不韋は思いました。

( それを目論んで彼らをここに呼んだというのか?! )ってことなんですよね。
呂不韋「 私なら、秦を最も富に満ちた国に成長させることが可能 」
呂不韋( リョフイ )は、「 天下 」 の起源を、「 貨幣制度 」だと、断言します。
呂不韋 「 最大の発明にして、発見。 – 人は裕福の尺度( 我欲 )を手に入れた 」
そして、嬴政( エイセイ )の夢としている「 中華統一 」を否定します。
呂不韋 「 全実権をこの呂不韋に委ねられるなら、私は10年で秦を中華至上最も富に満ちた国に成長させることができる。 ものがあふれかえり、飢えなどとは無縁の飽食、秦の民・全員が人生を楽しみ、謳歌する国です。」
それに対し、秦王の嬴政も、「 ( お前の言う通りの世になったら )我欲を至上とする醜悪な世になる 」と返しますが。
呂不韋 「 武力( 暴力 )で制服しようとする中華東一など、もってのほか。」 蛮行以外の何物でもない。( 怨念が重なって闇の世となり、それこそ狂気の沙汰。)
「 刃ではなく富を交わらせて( 裕福な国に憧れる”民”たちを統率する )周囲の国々と関係を築くのです。 」
戦争という暴力で民を従えてはならない、略奪と虐殺、悲しみと絶望を感じた敗戦国は、秦への怨念を貯めこむだけで、行く末は「 闇の世 」となる、王の( 夢というわががまで )中華統一などと言っている嬴政について、そんなことでは、誰よりも玉座にあってはならない人間だと、呂不韋は断じます。
嬴政「 人の持つ本質は、”光” だ。 」✨
嬴政も返します。
嬴政 「 呂不韋、お前のやり方では、戦はなくならぬ!! 」
そして呂不韋も、いかなる世に合っても戦はなくならないと思う、それは実際自分が見聞きし商売を通じて感じて来た事実だ、と応えます。
呂不韋 「 戦の中にいる人々は、「 大義 」を重んじる者、友情を大切にする者、「 愛する者のために 」動いている者、それから「 私利私欲 」のためだけに動いている者、さらに、復習を果たそうとする者がいる。」
それについて、「 だれも間違っていない!! 人の正しい感情だ!! 」「 戦争は、なくなりません!! 」と、呂不韋は訴えます。
— 呂不韋「 人の世の本質は、争うことだ。 」 —
それに対して、紫の光に寄り添われ、守られた 嬴政( 冒頭画像参照 )は返します。
嬴政 「 人は欲望におぼれ、欺き、憎悪し、殺す。 凶暴性も醜悪さも、人の持つ側面だ、だが決して本質ではない!!
その見誤りから、争いがなくならないものと思いこみ、その中で最善を尽くそうとしているが、それは前進ではなく、人への諦めだ!!
そこに気づかぬがゆえにこの中華は、500年に至る争いを続けている。 」
王騎( おうき )、麃公( ひょうこう )、成蟜( せいきょう )、そして名もなき者たちも、カタチや立場が違えど皆一様に、自分の中心にある光を必死に輝かせて死んで行った。
そして、その光を次のものが受け継ぎ、さらに力強く、光輝かせるのだ、
そうやって人はつながり、よりよい方向へ前進する、と。

↑ 王騎 将軍

↑ 麃公 将軍

↑ 成蟜
嬴政「 人が闇に落ちるのは、おのれの光のありようを見失うからだ!! 」
見つからず、もがき、苦しみ、悲劇が生まれる。 人を闇へ落とす最大のものが戦争だ。
おれは戦国の王のひとりだ、戦争からは離れられぬ運命にある、ならば俺の代で終わらす、暴君のそしりを受けようが、力で、中華を分け隔てなく、上も下もなく、ひとつにする、そうすれば必ず、俺の次の世は、人が人を殺さなくてすむ世界となる、と嬴政は説き、周囲は感嘆します。
お互いの描く為政への道はただごとでないことは分かりました。両者の勝敗の結果、この秦国が明日からどのみちへ歩みだすのか、その答えはまもなく、咸陽からもたらされるでしょうと呂不韋が返します。
呂不韋「 しかし、大きゅうなられましたなぁ、大王。 」
呂不韋はまるで、息子に言うような物言いです。
◆ ◆ ◆
劣性の首都・咸陽でしたが、呂不韋派だった 楚の国出身の 秦国軍 総司令 の 昌平君 が、嬴政側に寝返り、首都奪還に走っていました。

つまり、呂不韋は部下に見限られたということです、彼自信はなんとも思っていませんが。
「 包雷( ほうらい )」の陣形を取り、綿密な軍の配置( 偶然の産物ではありますが )を取って、昌平君は自ら敵将の首を取り、完勝しましした。

昌平君 「 咸陽の窮地も脱し、反乱の罪は呂不韋にまで追求される、つまり、これで呂不韋は失墜する 」
信( 主人公 )と 嬴政 がずっと願っていたことが、やっと現実になりそうな気配です。
昌平君に、信がどうして呂不韋を裏切ることが出来たのかたずねると、
昌平君 「 私も中華を統べることを夢に描く男の一人だ。そして現秦王はその夢を預けるに足る器の王だからだ。」
100点の返答ですね。
結論 : 覚悟というか、日頃からの思念が窮地を左右するのかも
わたしたちは、嬴政 のように、昌平君 のように、行動したり、発見したり出来るでしょうか。
嬴政 の教育係としていつも身近にいた 昌文君 は、政敵・呂不韋に完全勝利したんだと涙します。
先ほど、呂不韋の勢いに、ことばに詰まりそうになった嬴政を助けたのは、「 紫の光 」。
— それは昔、嬴政を趙の国脱出時に自らの命を賭して尽力してくれた女性をはじめ、嬴政のためにこれまでの戦で亡くなっていった人たちの光という設定です。
実際、それが後押ししてくれたのではなく、そんな人々の思いをしっかり受け取っていたからこそ、自分の「実」になっていた実感が言葉として出たんだと思います。
ビジネスの場面では、なんだかわからない勢いに押されてしまうことが多々ありますが、「 感じる心 」を持って、たくさんの人々の気持ちをきちんと自分のものにしていれば、圧力に負けない真理をしっかり通すことができると思います。
長いものに巻かれればいいってもんじゃないときは、絶対にあるんですよね。
嬴政に倣って、なにか好転できる働きかけができる人物になれると、いいなと自分で思っています。
≪ 本サイトで、キングダムをとりあげたコンテンツです ⇩⇩ ≫ 参考までにどうぞ。
・ 「 勝てば官軍 」は 卑怯な奴らの座右の銘?!【 キングダム 第4シリーズ 5話「 剣と盾 」 】
・ 嬴政の母・太后(趙姫)は実は賢い女性だった?! 【 キングダム 第4シリーズ 14話「 新しい国 」 】
・ 【 今でもよくある組織事例につき要注意 】上総広常 誅殺の理不尽 〜 暗黒・頼朝の謀略 ← これについては、関連として「キングダムで幽閉されていた有能な戦士」をとりあげています。
・ 十数年幽閉されていても現場で総力を発揮する凱孟 ( キングダム 第4-7話 )
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