(C)原泰久/集英社 (C)2022 映画「キングダム」製作委員会
「 勝てば官軍 」は、ビジネスでも悪い奴らが今なお使う常套手段
「 勝てば官軍 」という言葉、検索すると「 どんな卑怯な手を使っても勝ってしまえば( ≒ 成功してしまえば )あとはどうとでもなる、という意味 」、ですからこれを座右の銘だというのは、まずどうなんでしょう。
歴史として「 官軍 」というからには「 朝廷 」でしょうから、明治維新・戊辰戦争(西南戦争)近辺、西郷さんあたりが由来だろうなあと思ってたら、そうみたいですが、当たってますか??
何かで読んだのですが、キングダムでは作者の原泰久先生も、会社組織で経験したことをマンガに反映するつもりで書き始めたといっていたそうです。
「 キングダムは会社員経験そのもの 」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E6%B3%B0%E4%B9%85

出ていますよね、しっかりと。
会社や学校で、こんな手を使う奴らはまだまだいます。
卑怯な手を使っているのにそれを人のせいにして、相手の人生を悪い方向に向かわせたとしてもなんとも思わない輩は、どうしてなのか、どの世界からもいなくなってはくれないんですよね。
「 勝った者に正義が宿る 」 王弟・成蟜 に濡れ衣を着せる 呂不韋
キングダム( 週刊ヤングジャンプ・アニメ第4シーズン放映中 )は、ご存知のとおり、中国の 秦の始皇帝 が王になる過程を描いた物語。主人公は始皇帝の親友で大将軍になろうと邁進する「 信 」という青年です。
物語( アニメーション )は 待望の第4シーズンがはじまり、第5話目で大事件がひとつ終結します。
◆ ◆ ◆
屯留という城郭都市で、王弟・成蟜(セイキョウ)は、兄王・嬴政(エイセイ)の 政敵・ 呂不韋(リョフイ)の傘下にいる 蒲鶮(ホカク)に嵌められ、非業の死を遂げることになってしまいました。
呂不韋(リョフイ)・蒲鶮(ホカク)による 兄王(嬴政 – エイセイ)への反乱を、弟の 成蟜(セイキョウ)が企てたと見せかけた 悪巧計画は、成蟜 自身による 蒲鶮 殺害により失敗に終わるのですが、蒲鶮 という手下が死んだところで 呂不 韋は痛くも痒くもなく、余裕の平常心のまま過ごしています。
兄王のエイセイ( 嬴政 )は、その悪巧計画を事前に敏感に察知していて、セイキョウ( 成蟜 )救出のために信頼できる一人の将軍・壁 と エイセイ( 嬴政 )の盟友の 信(シン・主人公)を事件の現場まで迅速に派遣しましたが、わずかに及ばす、セイキョウ( 成蟜 )は到着したシンにメッセージを残して、その場で息を引き取ってしまいます。
呂不韋(リョフイ)のこの卑怯な計画を阻止できなかったうえに セイキョウ( 成蟜 )も失い、さらに(証拠がなく)呂不韋 を罰することも叶わない中、シン(主人公)は早速、憎むべき悪党・呂不韋にばったり出くわします。
◆ ◆ ◆

呂不韋 ( ざわつく取り巻きを制して ) 「 この者を知っている、論功行賞で二度も見た。 」
この者こそ 飛信隊 の 信(シン)じゃ。 そして大王様のおともだちの、シンだ。 それで( お前は )私に何の用じゃ?? と 呂不韋返答。
信 『 呂不韋、お前は王にはなれない! 』
お前には正義がないからだ、と信。
呂不韋 「 ほう、してシン殿の言う正義とは!? 」
信 『 お前に言っても、わかりっこねえ。 』
取り巻きが、ハハハなんじゃこやつごまかしおったぞと笑う。
呂不韋 「 ふんっ、無骨なシン殿にひとつ教えておいてやろう、世にいう正義とは、その人柄に宿るのではなく、勝った者に宿るのだ! 』
世に言う「正義」とはその人柄に宿るのではなく勝った者に宿るのだ-呂不韋#キングダム #マンガ #名言 #かっこいい pic.twitter.com/k15u2O6DUb
— キングダム名言集 (@kingdom_bot001) May 31, 2016
信 の前から取り巻きを引き連れて颯爽と去った 呂不韋 は、勝てば官軍だ、負けた奴に弁明もできなければ、発言権もない、俺が権力を手にするためにどんなに卑怯な手を使っても、勝った俺が正義となる、と偉そうに表明したのでした。
負けた人たちを見て冷静に判断し、批判する人たちに向かって堂々とこんなことを言う人も今どきいないと思いますが、実際に言わなくても心に思いつつ卑怯なことをやっている人はたぶんすごくたくさんいるんだと思いますよね。
※本ブログの他キングダムに関する著述、こちら ↓ もありますので、参考にしてみてください。
【 十数年幽閉されていても現場で総力を発揮する凱孟 ( キングダム 第4 – 7話 )】
「 鎌倉殿の13人 」でも、ところどころで描かれる「 勝てば官軍 」
小栗旬さんを座長にNHK大河ドラマ「 鎌倉殿の13人 」が放送されていますが、ネットで大きな話題になったシーンが「 勝てば官軍 」をやってのけたこのシーンでした。
【 今でもよくある組織事例につき要注意 】上総広常 誅殺の理不尽 〜 暗黒・頼朝の謀略
( 木曽義仲版はこちら )

歴史学というのは基本的に当時の史料をもとにして研究が進められるのであるが、当時の勝利者が自らの統治を確固たるものにするべく歴史書を改竄し真実の歴史を隠してしまうことは洋の東西を問わず多いことである。例えば、倒した相手に暴虐非道の王であったとか愚昧な統治者であったとかレッテルを張ることがよく見られる。そんなことされると敗者にいかな正義があろうが、正史の上でも悪人にされてしまうのだ。「勝ったほうが正義」というのは歴史を学ぶ上では重要な前提である。
史料が改竄されなくても大抵の場合、敗者に発言権はないのでどんな卑怯な手を使っても勝てば良いという見方もできる。戦争なら核ミサイルや捕虜虐殺。スポーツならラフプレイやお行儀の悪い選手強奪など。負けた後に敗者がなにを言ってもやはり無視されたり言い訳と取られてしまうことが多い。しかし最近はネットとかがあるから悪いことするとすぐ広まってしまうことも。
しかしこれと同時に「判官びいき(アンダードッグ効果)」という言葉も存在する。敗者への同情によって評価を得られることもあるのだ。
https://dic.nicovideo.jp/a/%E5%8B%9D%E3%81%A6%E3%81%B0%E5%AE%98%E8%BB%8D
「 判官びいき 」の方には、時代の変化の兆しが。
そういえば、「 判官びいき 」ですが、ここ( 鎌倉殿の13人 )で描かれる 源義経 は、たぶん一切 判官びいき されていないキャラで描かれています。
判官びいきは、源義経を表現する言葉です。
いままでの義経は、容姿端麗で女性にもてて(誰もが羨む美しい女性に信頼され)、戦をすれば華麗な戦法ですべて勝ち、性格の最悪な 後白河法皇 にも好かれていたので、嫉妬に狂った各方面から追われるはめになってしまった、やきもち焼きの凡人たちに殺されてしまう可哀そうな私たちの義経様という伝えられ方でした。
しかし、「 鎌倉殿の13人 」では、演者がいまをときめく・菅田将暉さんなんですけども、なんだかすっごーーくいやな人物として描かれています。

空気も読まず、エライ武人の息子で、京都では無双、戦をやらせたら万能、岩手では野生馬はおろか動物も手名付けて来ていて、いまどき見たことない自意識過剰な人物です。
歴史上、「 負ければ賊軍 」になった側そのものですが、 判官びいき のおかげで過剰なまでに美化されたのは義経だけかもしれません。
まとめ : 「 勝てば官軍 」を許さず「 判官びいき 」は大目に見る
いまの時代、あのサッカー部の話題もさることながら、勝った負けた・権力のあるなしに関係なく、正義をきちんと伝えられるのは、とてもいいと思います。
フェイクもたくさんありますが、事実はしっかり届けていきましょう。

なんか、そんなことに貢献できることがやれたらいいなとすごく思う昨今です。
経営の神様、松下幸之助もだめだと言っています。

日本でマクドナルドを創業した 藤田田さんの著書は「 敗者の美学で飯が食えるか 」という発想で書かれたものです。 卑怯な、違法ギリギリな手を使うということではないみたいですが。💦汗
そういえば、「 きちんと事実が伝わらなかった 」ことによってすごく悲しい思いをした、救われなくなったふたりの物語、映画となっていて、こちらも気になりました。
これ ↑ は、すごくおもしろかったですが、判官びいきしすぎな物語でした。 【 深層海流/ かわぐちかいじ 】

建礼門院徳子とまでも恋仲になるわけがないじゃないですかー苦笑ははは
【キングダムに学ぶ「権力闘争」現代にも通じる本質】 64冊一気に読破した小島武仁・東大教授が解説 #東洋経済オンラインhttps://t.co/ukq9YZN8V1
— 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) May 14, 2022
いかに正当なことをいいつつも、誰かを貶めるようなことをするのはよくない。
そんなことをする奴の言っていることは、やっぱり正常ではなくなっていっていまうと思います。
勝手に自滅していく人を助け上げて苦労することもないですが、卑怯なことをしなければならないってことは、どだい道は開かれていないってことではないんですかね。
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< キングダム あらすじ >
紀元前、中国西方の秦国(しんこく)。 今は亡き親友と夢見た「天下の大将軍」を目指す下僕の少年・信(しん)は、王都で起きたクーデターに巻き込まれ、秦王・嬴政(えいせい)と運命的な出会いを果たす。
時は流れ、戦場に身を置く信は、同世代の将である 蒙恬(もうてん)や 王賁(おうほん)らと切磋琢磨しながら武功を重ねて着実に出世を果たし、これまで年若いことを理由に補佐役の相国・呂不韋(りょふい)に国の実権を握られていた 嬴政(えいせい)も、その類稀なる才覚によって、弟・成蟜(せいきょう)らかつて対立していた者たちをも味方につけ確実に宮廷内での影響力を強めていた。
そんな中起きた 函谷関(かんこくかん)攻防戦。 趙国(ちょうこく)の天才軍師・李牧(りぼく)と 楚国(そこく)の宰相・春申君(しゅんしんくん)の働きかけにより列強五か国が参加することになった合従軍に攻め込まれた秦国は、亡国の危機に国家一丸となって立ち向かいこれを打ち破る。
この戦いで 嬴政(えいせい)は、自らの才を証明してみせ、まもなく行われる成人の儀式「 加冠の儀(かかんのぎ)」において、国内外に向け自らが「第31代秦王」であることを宣言し、国の実権を( 呂不韋 から)取り戻すことを誓う。
だが、中華全土を巻き込んだ戦いは、攻め込まれた秦国も、合従軍に参加した国々にも大きな爪痕を残した。秦国では、混乱に乗じた内乱を目論む者が現れる。さらには 呂不韋 が自身の野望達成のための最終段階へと動き出す。
国家存亡の危機を乗り越えた秦国に、新たな波乱の兆しが見え始めていた――。
< 【 著雍攻略戦 】キングダム第4シリーズ あらすじ >
合従軍戦後、新たな要所となった 著蕹(ちょよう)を巡り、秦国(しんこく)は 魏国(ぎこく)と激しい攻防戦を繰り広げていた。
総大将・騰(とう)に召集された 信 の 飛信隊(ひしんたい)と王賁(おうほん)の 玉鳳隊(ぎょくほうたい)だが、秦軍(しんぐん)は、優れた軍略家である 魏軍(ぎぐん)総大将・呉鳳明(ごほうめい)に苦しめられることになる。
状況打破のため、秦軍は王賁が提案した 玉鳳隊、飛信隊、騰配下の 録嗚未(ろくおみ)軍による「三軍同時魏軍本陣突入」の作戦を決行。三軍が魏軍本陣を目指し突き進むも、飛信隊、玉鳳隊の前には、かつて戦場にその名を轟かせた豪傑たち「 魏火龍七師(ぎかりゅうしちし)」が立ちはだかる!
各国が注目する中、秦軍は、傑物・呉鳳明率いる魏軍に勝利し、著蕹攻略を果たすことができるのか!?
https://animageplus.jp/articles/detail/44510/2/1/1 アニメージュプラスより
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